都会を走るとくし丸

開業理由を教えてください

以前接客業の仕事をしていて、もう一度やりたいなと思ったからです。接客業というとコンビニや飲食店もあると思いますが、とくし丸の大きな違いは「1日に接客する人数が限られている」点にあります。

前職はイベントで一日に1,000人くらいの方の対応をしていましたが、そういうのではなくもっと小さい規模でその分一人ひとりのお客様とより近い距離感で接したいと思いました。今も昔も「人を喜ばせたい」という点では変わらないですが、今回はもう少しこじんまりとした規模で、その分一人一人のお客様とより近い距離感で接したいとくし丸の開業を決意しました。

開業前は、移動スーパーは過疎地とか地方のイメージだったので、「都内でも活躍してるんだ!」というのが第一印象でした。始める前の不安というよりは、やりたい接客業のイメージと合致している仕事だと感じて、早く始めたいというワクワク感の方が強かったです。

とくし丸で働くうえでの魅力は、何ですか?

私とお客様、お互い知った中で販売ができるというのは大きいポイントです。よく「見守り隊」といってこちらがおばあちゃんを見守っていると言われていますが、おばあちゃんから「アンタ調子悪いんじゃないの?」と元気がないとき逆に励まされたり気遣ったりしてもらえる、そんなお互い人間同士の付き合い方ができることが魅力です。
あとは自由に働ける点も魅力です。研修時にはスーパーの担当者から一通りのやり方を見せてもらいますが、あとは自由にやってくださいね、というような感じでした。とくし丸は個人事業主なので自分のやりやすいように変えていけることに魅力を感じます。
それこそ普通の会社ですと「これだけ売らなきゃダメ!」というようなノルマや縛りがありますが、とくし丸では自由に働くことができる代わりに、自分の裁量が試されます。自分の頑張りによって収入が大きく変わってくるので、甘えちゃうと全然ダメでサボった分だけ売上に反映されますし、その逆に頑張ったら頑張った分だけ自分の収入が上がる点も魅力だと感じてます。

今、東京都新宿区エリアで販売されていますが、都心にも需要はあるのでしょうか?地方と都心とではお客様にはどんなお困りごとの違いがありますか?


こんな大都会でどれくらい需要があるのか、自分も最初は半信半疑でした。でも今は、お困り度合いや環境の違いはあれど、このビジネスは都心エリアでも成り立つと実感しています。例えば、都心だと歩いて10分圏内にコンビニやスーパーがありますが、膝が悪くてそこまでいくことが大変だという方もいますし、重たい荷物を抱えて交通量の多い複数車線の道路を、1度の信号で渡り切れないという切実な声も聞きました。地方ではそもそもスーパーが減って困っているケースもあると聞きますが、都心部であっても取り残されているお困りの方がたくさんいらっしゃるので、とても需要があると感じています。中には、エレベーターのない団地の5階に住んでいて足腰が悪く降りてこられない方に、「注文受けて宅配」という形で販売しているお客様もいます。


働いているときのやりがいは何ですか?

私がおばあちゃんへ勧めた商品が「美味しかった」と言われたり、それをまた買ってくれたりすると嬉しいです。お客様の多くがおばあちゃん(女性)ということもあり、皆さん新しいものや流行りには今も変わらずアンテナを立ててらっしゃるので、私が商品のお勧めをすると興味を持ってくれます。自分が売ったものが「美味しかった」と直接言われることがやりがいに繋がります。この仕事に慣れるまでの1年間ぐらいはとても大変でしたが、それ以上に楽しさがあります。今となっては時間を忘れてしまうくらい楽しさややりがいがあり、仕事という考えでは働いていません。それほどこのとくし丸という仕事は楽しいと感じています。