人が好き。その気持ちがあれば、きっとできる仕事です

とくし丸を始めたきっかけを教えてください

とくし丸を始めたきっかけは、友人の紹介でした。
最初に話を聞いた時に、「やりたい!」って直感で思ったのです。

それまで保育士や介護職として、人と関わる仕事をしてきました。とくし丸も、まさに“人と関わる”ことが仕事。

実際に働いてみると、「この人に何を届けたら喜んでもらえるかな」と毎日考えることが楽しくて。
商品を売る、というよりも「お客さまに会えることが楽しみ。そして、お客さまに寄り添い、心を通わせられる」そんな仕事やと思っています。

※水口さん自作の商品POP

開業するにあたって不安なことはありましたか?

子どもがいて、仕事を探していた頃、「40代だと採ってもらえない」「自分のスキルを活かせる仕事がない」と思っていました。

でも、とくし丸は違いました。

お休みも自分で決められますし、頑張った分だけ、しっかり収入につながるのも嬉しいところです。「やらされてる仕事」じゃなくて、「自分で決めて、自分がしたいように働ける」という感覚がある。それが、何よりのやりがいです。

開業から10年経ちますが、働くうえで大変だったことは何ですか?

10年続けてきて、一番大変だったのは「天候」と「体調管理」です。
雪や台風の日でも、「待ってる人がいる」と思うと、どうしても行きたくなる。

でも、無理は禁物。代わりの人がいないからこそ、自分の体は大事にせなあかんと日々感じています。
とはいえ、お客さまから「来てくれてありがとう」と言われたら、それだけで疲れが吹き飛ぶんです。それも、やりがいです。

「1週間ぶりに人と話せたわ」って言ってくださる方もいらっしゃって、「この仕事を選んでよかった」と心から思える瞬間です。

とくし丸の仕事の魅力を教えてください

とくし丸の仕事の魅力は、“楽しさ”も自分でつくれるところです。
たとえば、ある日お客さまから毛糸で編んだネズミをたくさんいただいたのです。

そのまま配るのもええけど、なにかできへんかなと思って、「ネズミ釣り大会」を考えました。
ネズミのしっぽに輪っかを作って、広告紙で釣竿を作って、子どもたちに釣ってもらうのです。 もう、子どもたちの笑顔を想像するとたまらんくて。準備してるこっちが一番ワクワクしてました(笑)。

他にも、クリスマスにはトナカイの帽子をかぶってプレゼントを配ったり、こどもの日には100均でおもちゃを用意して「好きなの選んでいいよ〜」って配ったり。
子どもたちに向けてだけでなく、お菓子のつかみ取りやビンゴゲーム、サイコロゲームなんかもしました。

ちょっとした工夫や遊び心で、たくさんの笑顔に出会えるのが、この仕事の醍醐味です。

結局、お客さまに喜んでもらうつもりが私が一番幸せをもらっています。
とにかく、私の人生が大きくひろく、豊かになりました。

※子どもたちと一緒に行ったネズミ釣り大会
※サイコロゲームを楽しむお客さま

とくし丸はどんな方に向いている仕事だと思いますか?

私は、研修に来られた方に必ずこう聞きます。

「人が好きですか?」

人が好きだったら、その人に喜んでもらいたいと思うし、「どうしたら笑顔になるかな」って自然に考えるようになると思うんです。
過去にどんな仕事をしていたかは関係ありません。
大切なのは、“誰かを想う気持ち”があるかどうか。

この仕事は、どんな年齢でも、性別でも、どんな経験をされた方でも、「人が好き」という気持ちさえあれば、きっと誰でもできます。
だから私も、これから先ずっと、笑って楽しんで、とくし丸を続けていきたいと思っています。

▼.水口さんの著書・ブログのご紹介

著書:ねてもさめてもとくし丸

ブログ:とくし丸5go!

地元に貢献できる喜びを

とくし丸を開業しようと思った理由を教えてください

実は私、前職はとくし丸本部のSV(スーパーバイザー)として働いていました。
当時は、全国の販売パートナーの現場で直接営業サポートやノウハウを提供していました。当初は本部を辞めて販売パートナーとして開業することは、想像もしていませんでした。販売パートナーという仕事に興味を持ったきっかけは、既存の販売パートナーへの「同乗」でした。

もともと小売業界にいたので、稼働時間や仕入れ作業、商品を並べることの大変さなどは分かっていたのですが、それ以上にお客さまからのたくさんの「ありがとう」という言葉が多かったことに衝撃を受けました。

お客さまも、販売パートナーも、お互いがお互いに感謝していたことを覚えています。コンビニなどの店舗小売業の場合、お客さまと話す時間はほとんどないですし、お客さまの顔や名前、好みの食べ物を把握しながら接客することもないでしょう。

顔が分かっている状態で接客し、お互いに感謝の気持ちを持っている。とくし丸は「ありがとうが溢れる現場」だと思いました。
これまで複数社で現場を経験したことがありますが、こんなにも「ありがとう」が溢れる現場や仕事は見たことがなく、私もこの素敵な世界に飛び込んでみたいと思いました。

月々かかる経費について教えてください

私は車両の購入方法としてリースを選択しました。リース代は月々約56,000円かかっています。リース代のほかに、毎月かかる経費はガソリン代、レジ使用費、駐車場代など。すべて含めると10万円弱になります。夏は燃費が悪く、ガソリン代が特に高くなります。

経費の金額だけ聞くと高いと感じるかもしれませんが、とくし丸は「売ったら売った分だけ収入に直結する」ので、やっていくことが難しい金額ではないです。逆にいえば、売上が下がると収入も下がってしまうので、日々工夫をしています。

例えば週1回利用だったお客さまに対して、週2回利用を希望される方がいないかを聞いたり、営業中に空き時間ができた場合は、追加でお客さま探しをしたりしました。そうすることによってお客さまの数を増やし、売上を上げることができているのです。このように売上を伸ばす工夫ややり方も自分で考え、実行できることに魅力を感じています。

現在、私と妻、2人の子どもとの4人暮らしのため、一家の大黒柱として、今後も日々営業を工夫して売上を伸ばしていこうと思います。

首都圏のお客さまにはどんなお困りごとがありますか?

首都圏も山間部も、根本的な需要やお困りごとは変わらないと思います。首都圏といっても、スーパーマーケットがたくさんある地域と、比較的少ない地域があります。歩いて15分のところにスーパーがあっても、そこまで行くことが難しい方がいらっしゃるのです。

私たちの場合は自分の足でスーパーへ行き、買い物をすることができますが、お年寄りの方は足腰が悪く、スーパーまで行くことができない方や、誰かの力を借りて買い物へ行く、例えば週末に家族(娘や息子)に買い物に連れて行ってもらう方がいらっしゃいます。
そうした方々のために、自分の目で見て、触って商品を選んでいただける機会を提供しています。
また、私はずっと日野市に住んでいます。とくし丸で働く魅力は、買い物にお困りの方を救うだけでなく、地元に密着し、地域に笑顔を増やしていることを実感できることです。
「来てくれてありがとう」「会えて嬉しい」と日々言われます。私の販売エリアが日野市内のため、地元へ恩返しをしているようで、誇りをもって働くことができています。

お客さまとのエピソードを教えてください

1番印象深かったのは、お客さまからの買い物メモです。
いつも欲しい商品を書いたメモをお客さまから渡されるのですが、そこに「見て買うのが楽しみです」と書いてあったのです。

これを見たとき、暑さや疲れなんかぶっ飛びましたね。
毎週行くたびにいつも「ありがとう、ありがとう」と言ってくださるお客さまですが、文字にしてくださるのは本当に嬉しいですし、「これからもたくさん商品をお届けしよう!」と強く思いました。

会社員時代より ストレスフリーに働いてます

開業するにあたって不安なことはありましたか?

当時私は、開業資金はリースを選択しようと思っていたのですが、無職で収入0だったので審査が通るかとても不安でした。ただ、バックボーンに東武ストアさんがいたことによって審査も通り、無事開業することができました。

今はリースを選択したことによって支出が一定だということもあり、経費管理が楽になるという点と、
車両のメンテナンスもついてくるので安心・安全な車両管理ができるメリットがあると感じています。
車両について詳しくない私でも、これならやっていけています。

リースの月々の支払いは大きいですが、やっていけない完全に無理な数字ではなかったです。
確定申告もこれまでやったことがなく不安でしたが、ソフトを使ってやってみると簡単にでき、税理士など使うことなく今では自分で行っています。

また私は収入の面でもとても不安でした。個人事業主なので自分に何かあった時には収入がなくなってしまいます。体調を崩してしまうと営業が停止し、その分直接収入にも響いてきます。

また自分自身の問題だけではなく、買い物の手段の提供というお客様のライフラインを直接担っているので、
自分自身の体調には気を付けるようにしています。でも今はそれをプラスに捉え、体調の面も含め自分の仕事に責任感を持って働くようにしています。

とくし丸で働く上でどんなことに気を付けていますか?

私は一緒に働く仲間との関係性を大切にしています。
販売パートナーは個人事業主ではありますが、日々の営業の中で一緒に働く仲間、例えばスーパーの担当者や各部門の方、出入りする他の配送業者の方との関係性を大切にしています。

具体的には、しっかり相手と目を合わせて挨拶をしたり、ベースピッキング※や返品作業をやってもらって当たり前と思わずに、毎回必ずしっかりお礼を伝えるなどしています。
基本的には1人で業務を進めていく仕事ではありますが、日々サポートしていただき周りの力も借りて働いているので、円滑に業務を進めていく上ではとても大切なことだと感じています。

良い関係性を築くことによって「お客さんの名前だけじゃなくて誕生日とか結婚記念日も覚えてプリンとかちょっとしたプレゼントと一緒にお祝いしてあげると喜ぶよ!」などと売上を上げるためのコツを教えてもらったり、営業前に会話したりして1日の良いスタートが切れています。
朝たまにスーパーの担当者がいらっしゃると話が盛り上がって止まらなくなって遅れそうになる日もありますが…(笑)それくらい楽しいです。

簡単なことではありますが、一緒に働く仲間との関係性を大切にすることによっていつかはそれが自分に返ってくると考えています。

※ベースピッキング:基礎的な商品を選定すること

とくし丸で働いてみての感想を教えてください

私は30年以上勤めていた会社を辞め心機一転、新たなとくし丸を開業しました。
今は会社や上からの指示で動くのではなく、自分で考えや自分の意思で働くことができるため、個人事業主であることが逆に良かったです。

例えば、どうしたら売上を上げることができるのか自分で考え、実行することができるのです。
お客様が商品を見やすく選びやすく手に取りやすいように車両のレイアウトや棚を変更したり、接客の方法も自己流にしてみたりしています。

思ったように売れるとやっぱり嬉しいですし、思ったような結果にならなかったときにはまた考え、それを実行に移しています。
今は自分の意思で動き、実行していけることができる、そんな個人事業主として働くことが魅力的だと感じています。

砂村さん流の商売のコツを教えてください

私は週に2回お買い物をすることが楽しみなお客様の期待を裏切らないために、商品内容を飽きさせないようにしています。
お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら商品選びをし、新しい物・いつもと違う商品を持って行っていくことを心がけています。

中には80代になっても自宅にあるお肉や野菜を使って料理をしているお客様もいらっしゃって、「これを持って行くと喜ぶんじゃないか?」と思って積んだ商品を実際購入してもらうと、とても嬉しいです。

お客さんが「これが好き!」と言われ好みを知っていくことは重要ですが、何回かすると飽きてしまって買わなくなってしまいます。
お客さんを飽きさせないために商品を替えることが重要だと感じています。